『ターメリック研究の取り組み意義』

ハウス食品グループは、食を通じて健康長寿社会の実現を目指しています。また、ハウスウェルネスフーズは「明日への健康なくらしに奉仕する」という企業理念を掲げ、「いきいきとした健康」をお手伝いする企業を目指しています。 その事業活動の中で、古くから食品や染料に使用され、また、漢方製剤にも配合されているターメリック(Curcuma longa L.)の健康機能について、特にターメリックから抽出したエキスに関して研究を行っています。研究開始当初は、アルコール代謝に着目して進めていましたが、研究を進める中で、ターメリックエキス中にビサクロンやターメロノール類などの強い抗炎症作用を示す化合物群を見出し、ターメリックエキスの抗炎症作用に関する研究をスタートさせました。

炎症には、微生物に感染した際の発熱や、打ち身や切り傷などの際の腫れや痛みなど治癒とともに消失する急性炎症と、自覚症状が無く体内で持続的に起こる慢性炎症とがあります。 近年、慢性炎症は加齢や肥満、ストレスによって引き起こされる動脈硬化や糖尿病、心疾患などの生活習慣病や癌などの発症や重篤化の背景要因として注目されています。また、高齢者のコホート研究においても百寿者やその直系子孫では炎症マーカーが低く、また、炎症マーカーが低い人たちは生活の自立性を長く維持しているということが報告されています。それゆえ、私たちは、健康長寿社会の実現において、慢性炎症を抑制することが非常に重要なことと考えています。

ハウスウェルネスフーズ株式会社 常務取締役 研究・技術本部長 兼 開発研究所長

山本 佳弘

ハウス食品グループ本社 研究開発本部 経営役 副本部長(兼務)、日本食品免疫学会 評議員 参与、日本栄養・食糧学会 監事、弘前大学 医学部 食と健康科学講座 特任教授

現在、ターメリックエキスの慢性炎症抑制効果については、幾つかの臨床試験で確認を行っています。例えば、慢性炎症のマーカーのひとつであるhsCRP値の低下作用、血糖値改善効果、疲労感改善効果、肌保湿性改善効果などですが、いずれもターメリックエキスの抗炎症作用に基づくアウトカムと考えています。 ターメリックには、まだまだ、健康維持増進のために有用な成分が含まれている可能性があります。

今後ともターメリックエキスの抗炎症作用の研究をベースにターメリックエキスの健康機能性研究を続け、みなさまの健康維持増進に寄与できる新たなエビデンスを積み重ねることにより健康長寿社会の実現に貢献できるように研究開発を進めていきます。

  • 同支社大学生命医科学部 教授 市川 寛
  • 横浜薬科大学 総合メディカルセンター代表 渡邉 泰雄
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